息子が小学生に入学し、ホッと一安心。あっという間に初夏の日差しになってきましたが、この春に修理完了した器をいくつかご紹介いたします。

こちらは九谷焼の小皿。直径10センチほどのものですが、上からモノを落としてしまったらしく、本体と、6つの小さなカケラになっていました。

お預かりする際に伺ったエピソードでは、こちらのお皿の絵付けをされたのはもう80代にもなるベテランの女性職人さんだそうです。細やかでありながら、しっかりと力強い筆痕。職人さんのお人柄に想いを馳せながら、なるべく図柄の邪魔にならないよう、金仕上げの場所、漆仕上げの場所を細かく設定して塗り分けました。

和菓子などをのせると素敵な風景になりそうです。

そしてこちらは、陶器の盃のお直し

足の部分がポキンと折れていた、可愛らしい陶器製ゴブレットです。

元々の模様に合わせて細く切った和紙を巻き、漆で固めて補強をして、金丸粉で仕上げました。

私がお酒を飲めないので我が家はワイングラスもゴブレットもありませんが、陶器で作られた足つきのこの形はお酒を選ばずに使えて良いなぁ、などと想像しながらお直ししました。

器をお預かりすると、つい何をのせようか?何を入れようか?とか、この器を持っていたら食卓に何を並べようか?と妄想してしまいます。
そんな時間も楽しいのです。

金の値上がりが止まりません。ずーっと右肩上がりなので困っています。「金継ぎ」という名前から、金で仕上げることが標準化していますが、金が高いので傷が大きくなればなるほど修理代がかさむことになります。
もし大切な器を傷にしてしまい、直そうかどうしようか悩んでいらっしゃる場合には、金仕上げと同時に「おまかせ仕上げ」も検討してみて下さい。
金以外にも、銀仕上げ、真鍮仕上げ、錫仕上げ、それと漆仕上げもございます。おまかせにしていただける場合には、器の雰囲気や色柄に合わせて調和しそうな仕上げをご提案いたします。
それぞれの仕上げの事例をご覧になりたい場合は、お気軽に仰って下さい。