横浜ハンドメイドマルシェ

先日無事終了しました。
土曜日のみの出店でしたが、お足元の悪い中ご来場いただきました皆さま、ありがとうございました。

大型イベントの出店は何年振りでしょう。
少なくとも前回から8年以上は間が空いています。会場の雰囲気、久しぶりにワクワクしました。

お客様の反応を見たり、他の出店者様の作品を見たり、美味しいものを頂いたり、色々と刺激をもらえた1日でした。3年間のコロナ禍で、郵送やネットでのやり取りが当たり前になりましたが、やっぱり実際に話して、触って頂いて、リアルなやりとりをしないと分からないことって沢山あるなぁ、と心底感じました。

当日並べたアクセサリーや漆器は、この先ネット販売もできるように夏の間に少しずつ準備していく予定ですが、インターネットの画面で果たしてどこまで素材感や魅力を伝えられるのか?と、少し不安にも思っています。
機会があればこの先も、委託販売などで手に取ってもらえるような工夫をしていきたいと考えています。

いずれにしても、漆という素材の可能性に、少しでもご興味持って頂けたら嬉しいです。

九谷焼の小皿、陶器の盃

息子が小学生に入学し、ホッと一安心。あっという間に初夏の日差しになってきましたが、この春に修理完了した器をいくつかご紹介いたします。

こちらは九谷焼の小皿。直径10センチほどのものですが、上からモノを落としてしまったらしく、本体と、6つの小さなカケラになっていました。

お預かりする際に伺ったエピソードでは、こちらのお皿の絵付けをされたのはもう80代にもなるベテランの女性職人さんだそうです。細やかでありながら、しっかりと力強い筆痕。職人さんのお人柄に想いを馳せながら、なるべく図柄の邪魔にならないよう、金仕上げの場所、漆仕上げの場所を細かく設定して塗り分けました。

和菓子などをのせると素敵な風景になりそうです。

そしてこちらは、陶器の盃のお直し

足の部分がポキンと折れていた、可愛らしい陶器製ゴブレットです。

元々の模様に合わせて細く切った和紙を巻き、漆で固めて補強をして、金丸粉で仕上げました。

私がお酒を飲めないので我が家はワイングラスもゴブレットもありませんが、陶器で作られた足つきのこの形はお酒を選ばずに使えて良いなぁ、などと想像しながらお直ししました。

器をお預かりすると、つい何をのせようか?何を入れようか?とか、この器を持っていたら食卓に何を並べようか?と妄想してしまいます。
そんな時間も楽しいのです。

金の値上がりが止まりません。ずーっと右肩上がりなので困っています。「金継ぎ」という名前から、金で仕上げることが標準化していますが、金が高いので傷が大きくなればなるほど修理代がかさむことになります。
もし大切な器を傷にしてしまい、直そうかどうしようか悩んでいらっしゃる場合には、金仕上げと同時に「おまかせ仕上げ」も検討してみて下さい。
金以外にも、銀仕上げ、真鍮仕上げ、錫仕上げ、それと漆仕上げもございます。おまかせにしていただける場合には、器の雰囲気や色柄に合わせて調和しそうな仕上げをご提案いたします。
それぞれの仕上げの事例をご覧になりたい場合は、お気軽に仰って下さい。

修理再開のお知らせ

おかげさまで、夏の間に自宅のリフォームは無事終わり、引っ越しとその後の片付けも終え、すっかり元のペースに戻っています。

ホームページの更新が遅くなってしまいましたが、金継ぎの修理受付を再開しています。
秋のあいだに色々あって、金継ぎ教室ができませんでした。教室は来年一月から再開したいと思っております。

半年間お休みをいただきありがとうございました。何かご相談ごとがあれば、お気軽にお問合せ下さい。
なお、リフォームして、以前よりも人を迎えやすくなりました。お近くにお住まいでしたらお持ち込みも可能ですので、ご検討ください。

どうぞ宜しくお願いいたします。

器修理の受付を休止します

自宅(団地)のフルリフォームを行うことになりました。
フルリフォームですので、一旦引越しをして仮住まいに3ヶ月、それからもう一度引越しをしてリフォーム済みの綺麗な住まいに戻ってきます。
つまり短期間に引越しを2回します。
その間、お預かりしている大切な器たちに何かあったら嫌だなぁ…、と思うのと、リフォームの事で頭がいっぱいになってキャパオーバーになる気がしているので、器修理の受付をしばらくお休みさせて頂くことにしました。
修理をご検討して下さっていた方には大変ご不便をお掛けしますが、ご理解とご協力を頂ければ幸いです。

●受付休止期間は

4月1日〜8月30日

とさせて頂きます。

金継ぎに関するご相談だけは行っております。壊れてしまってどうしたら良いか分からない、直るかどうか聞いておきたい、という場合には、メールでお気軽にお話をお聞かせ下さい。
そして修理したい!と思ったなら、ぜひ9月以降に工房までご発送下さい。確実に作業進めさせて頂きます。

作業遅れ気味です

2月は息子の幼稚園が休園になったり学級閉鎖になったり、息子が微熱を出したり、ズル休みをしたり・・・、色々とありました結果、登園日数が7日という、大変なひと月になりました。もう春休みなのか?と思いました。

もう、こんな状態になってくると、あきらめの境地とでも言いますか。園から学級閉鎖の連絡を受けても、「はいはい~、どうぞー」という感じです。息子はここぞとばかりに遊びまくっていました。

そんなわけで2月、私は仕事をしたくてもできない、スローペースを強いられていましたので、作業は当然遅れています。うつわを預けて下さっている方の中には、まだかなーっ、と首を長くしてお気に入りの器の帰りを待っていらっしゃる方もおられると思いますが、こんなご時世ということで、ご了解いただければと思います。できる範囲でコツコツ進めていますので、お待ちください。

最近修理させて頂いた器をいくつかご紹介しておきます。

注ぎ口が欠けてしまった急須です。注ぎ口は水分を含みやすい場所なので、正直とっても難しいです。もしかしたら使っているうちに、水でふやけて取れてしまう可能性もありますので、できる限りしっかりお直しさせていただきましたが、要経過観察、という感じです。

黒漆仕上げ

次は作家ものの、個性的なマグカップ。

縁の欠けのお直し

縁に小さな欠けが何か所もできてしまい、口当たりがザラつくようになってしまったとのことでご依頼いただきました。うつわの個性を生かして遊んで欲しいとご要望頂きましたので、今回は赤漆と金粉を用いて、最初から器のデザインの一部だったようにお直ししました。こういう変化に富んだ修理は楽しいです。ご依頼主様のティータイムが今までよりいっそう豊かな時間になります様に。

最後は素敵な土もののマグカップ

白漆仕上げ

あえて色漆のみで、シンプルに仕上げました。白漆と言っても、漆は乾くとき暗い色になりたがる性質があるので、いわゆる「白」にはなりません。メーカーや乾く時間(季節)によっても少し色味が変化しますが、白というよりカフェオレ色です。ですが白い器にはよく馴染むと思います。

マグカップに白漆、という組み合わせは、個人的に結構好きです。コーヒーを飲むときやカフェオレを飲むときに、チラッと修理あとのやさしいカフェオレ色が見えると、どことなく「調和」を感じます。私だけでしょうか。

修理は金仕上げの場合、欠けが3500円から、割れは4000円程度からを目安にご案内しておりますが、漆仕上げはほかの金属粉仕上げの場合には、金仕上げから500円引いた価格でお引き受けしています(何しろ金が高いですからね…)。仕上げで迷っていらっしゃる場合は、ご相談下さい。

工房までお持ちいただければ、実際の修理品や、色漆の見本もお見せできます。横浜市内などお近くの方は、ぜひ直接のお持込もご検討ください。

ガラスの欠け

当工房では、基本的にガラス製品の修理は承っておりません。

漆はツルツルした面に定着しにくく、その時にくっついたように見えても、乾燥時の収縮などもあって剥がれやすいので、なかなか修理するのが難しいのです。
というわけでガラスの器のお直しは現状全て、お断りさせて頂いているのですが、これは自宅の器なので実験的に修理をしてみました。


ガラスは補修した裏側から下地に使った漆の色が透けてしまいます。これも難しい理由の一つです。

見る角度によって、下地が見えたり隠れたりするので、器の印象そのものが変わります。

今回は小さな欠けでしたが、コツンと何か当てたらポロっとすぐに取れてしまいそうだったので、実際の傷よりも広めに漆で覆い金消し粉で仕上げました。


強度はいかほどなのか?実際に使ってみながら、経過観察していきたいと思います。
ガラス用漆というものも一応販売されているのですが…その定着の度合い、経年変化の具合なども分からないので、まだ手が出せないでいます。

ガラスの修理、難しいです。

巣篭もり2ヶ月

巣篭もり期間、まだ伸びそうですね。

過酷な医療現場の方をはじめ、こんな中でも毎日働いて下さっている方方には本当に頭が下がります。家族のために働く夫にも感謝を忘れないようにしたいです。

一方で私は四六時中息子と過ごしており、まともな仕事ができていません。

金継ぎのご依頼を下さる方には普段以上にお待ち頂くことになってしまい大変申し訳ありません。


私は原則、家族が家にいる時はかぶれさせてしまっては大変なので、漆を使う作業を行っていません。
特になんでも触りたがるやんちゃな息子は心配。「ダメ」と言っても2秒後には何を言われたか忘れてダメなモノを触るのです。こわい。

前職で漆教室を運営していた時、触っても大丈夫な人から本当にひどくかぶれて医者送りになった人まで、色々と目の当たりにしました。重症になると大変ということを知っています。私は自分の仕事道具で、誰かをかぶれさせたくありません。なのでこの2ヶ月、漆はしまったままになっています。

ホームページすらまともに更新できておらず、お恥ずかしい限りです。メールには随時返信させて頂いてますので、修理ご検討の際にはご相談ください。

今ご依頼頂いた場合、お時間を頂戴してしまうことは間違いない状況なのですが、中にはそれでも、とご依頼下さる方がいらっしゃるので本当にありがたく思っております。

こんな時だからこそ、大切なものを見直してみるのも良いのかもしれません。お預かりしたものは大切に、丁寧に向き合わせていただきます。よろしくお願いいたします。

まずは健やかにお過ごしください。

修理するということ

先日、プロフェッショナル〜仕事の流儀〜に、三重県のとある電気屋さんが紹介されていました。今井さんという方で、どんな電気機器も直してしまうと評判とのことでした。

自宅にいる時は普段ほとんどテレビをつけないのですが、その日はたまたま実家に帰っていました。息子を寝かしつけたあと、なんとなく母と見ていたのですが、その仕事ぶり、一つ一つのモノを大事に子供のように可愛がる様子に引き込まれ、すごく感銘を受けました。

その方は当初、家電販売の仕事をしていたそうですが、お客様から家電が故障したから直して欲しいと依頼を受けたとき、上司から「直るものも“直らない”と言うように」と指示されたのだそうです。新しい製品が売れなくなるからです。家電製品はある時から、使ってもらうことよりも、いかに売るかが目的になったのです。

そのことで心が痛み、販売店を辞めて自分で修理屋さんを始めたのだそう。最初は相手にされな買ったけれど、今や製造元のメーカーでも直せないお手上げなものまで直してしまうほどになり、各方面から頼りにされているのだそうです。

私たちはいつの時代からか、家電に限らず、消費するように仕向けられています。どんどん目新しいものを作って店に並べて魅力的に見せて価格は下げて、まだ使えるものでも手放させ次のものを買うように、誘導されているのです。

私はそこにずっと、大きな違和感と疑問と気持ち悪さを感じていました。

このホームページを立ち上げるには戸惑いもありました。まだ技術が追いついてないんじゃないか?私のような職人の足元にも及ばないようなヒヨコが堂々と『金継ぎ』などと言っていいのか?とか。

でも、この電気屋今井さんのひたむきな姿を見て勇気づけられました。最初は誰しも未熟なんです。でも何年も何十年も正直に続けていけば、何か見えてくるのではないか?

派手なことはできませんが、ここをまず第一歩目の土台として、コツコツ頑張っていきたいと思った、修理屋さんのお話です。

人の手センサーの敏感さ

この前くっつけた器です。

写真で見ると、ズレもなく上手いことくっついたように見えるのですが、手で触ると鋭角な部分を感じて、少し引っかかります。

もうそこは、ミリ単位とかの話ではないですよね。こういう時、人の手の感覚の鋭さ、敏感さにハッとします。

伝統工芸の世界では、この微かな感触とか手触りとかを頼りに素晴らしいお仕事されている方がとてもとても多くて、本当に頭が上がりません。職人さんたちの仕事ぶり、尊敬に値します。

私は職人ではありませんが、せめて日々の生活に必要とされているモノたちが、壊れたり汚れたりして無碍に捨てられることがないように、モノを大事にするために、技術を磨きたいと思っています。

修理は基本的に本漆を用いて行っております(合成樹脂は使用していません)

仕上げについては、金・銀・真鍮と色漆などに対応しております。ご依頼される方の

意向を伺い、その都度、相談のうえで決めていきたいと考えております。

<ご依頼までの流れ>

まずはじめに画像などで破損の状態を拝見し、仮見積もりをさせて頂きます。その後

修理品を直接お持ちいただくか郵送して頂き、見積額を決定、修理となります。

<修理・メンテナンスできないもの>

当工房では、ガラス製品についてはお断りさせて頂いています。技術が追いついたら

お受けできるようになるかも知れません。その他、器の状況によりお断りする場合も

ございますことをご了承ください。