夏休みを経て
8月、猛暑酷暑。
長期休みで時間と体力を持て余した上の子、イヤイヤ期に突入して大抵のことがスムーズに進まない未就園児の下の子、常にマルチタスク、なかなかにハードな夏でした。
金継ぎ作業は上の子が夏休みに入ってからほとんど進んでおりません。器を預けてくださっている方には、お待たせしてしまい申し訳ありませんが、気長にお待ちいただけましたら幸いです。
今のところ作業ができるのは1日に1時間半程度、下の子が寝ている間だけですので、早く進めようにも時間が確保できないといった状況です。いろいろと歯がゆく焦りもありますが、これも一時のこと、いずれもう少し安定的に作業できる日が来ますので、今は辛抱です。
さて、この半年くらい、牛歩ではありますが修理品を頂きコツコツ治しております中で、たまたまですが木製品の割合が高くなっております。

こちらは木彫作家、村上圭一さんのお盆。村上さんの作品はいくつか実際手に取り拝見したことがあるのですが、すごく気になっています。なんというか、無理やりなことをしない、細胞を壊さない造形というか、木に宿る精霊がもしいたなら、相談しながら作っていらっしゃるのかしらと思うような、そんな作品です。
大事に大事に作られている感じが伝わってくるので、修理のお話を頂いた時には嬉しい反面、私でよいのか?私などに手を入れられてしまってはお盆も可哀そうなのではないか?などと色々な感情が湧きましたが村上さんの作品触れたさに、お受けしました。最初は初恋の人に会えたような心境でドギマギしながら修理に臨みましたが、結果、とても良い経験をさせて頂きました。

こちらが修理前。割れてしまった部分は漆で貼り、上から黒漆を何度か拭いて、修理跡を極限まで目立たなくしました。

黒の色が合わせられてよかったです。
漆器の修理は陶器と違い、塗るにしろ削るにしろ、破損個所とまわりをいかに馴染ませるかという点、すごく難しいです。足したり引いたりしながら時間をかけて合わせていきます。
村上さんの作品…ぜひまた、触れたいです。
もう1点ご紹介。
こちらは白木の大鉢です。大人が抱えるほどの大きさ、過去一に大きなご依頼品でした。ふちがガッツリ割れ、ヒビも入っていました。

漆器の場合は傷跡を周りの漆の色に合わせていきますが、今回は白木です。ヒノキか、ヒバだと思われます。研磨の時、さわやかな香りがしていました。修理跡は金加飾をあえてせず、漆のままとしました。
というか、最初は金で仕上げるつもりだったのですが、漆で整えているうちに、なんだか、黒柿みたいだ…と惚れ惚れしてしまい、ご依頼主様に相談させていただいたところ、漆の状態を気に入って下さり、金加飾をキャンセルして漆仕上げでの納品となりました。

馴染んでいますね。

白木の修理品をお持ち込みいただいたのは初めてでしたので、いつもとは違う作業も多く、とても楽しく作業させて頂きました。
漆器や木製品の修理は、すべて対応できるわけではありません。まずはできるかできないか判断してからのお見積りとなりますので、問い合わせフォームからご相談ください。















