巣篭もり2ヶ月

巣篭もり期間、まだ伸びそうですね。

過酷な医療現場の方をはじめ、こんな中でも毎日働いて下さっている方方には本当に頭が下がります。家族のために働く夫にも感謝を忘れないようにしたいです。

一方で私は四六時中息子と過ごしており、まともな仕事ができていません。

金継ぎのご依頼を下さる方には普段以上にお待ち頂くことになってしまい大変申し訳ありません。


私は原則、家族が家にいる時はかぶれさせてしまっては大変なので、漆を使う作業を行っていません。
特になんでも触りたがるやんちゃな息子は心配。「ダメ」と言っても2秒後には何を言われたか忘れてダメなモノを触るのです。こわい。

前職で漆教室を運営していた時、触っても大丈夫な人から本当にひどくかぶれて医者送りになった人まで、色々と目の当たりにしました。重症になると大変ということを知っています。私は自分の仕事道具で、誰かをかぶれさせたくありません。なのでこの2ヶ月、漆はしまったままになっています。

ホームページすらまともに更新できておらず、お恥ずかしい限りです。メールには随時返信させて頂いてますので、修理ご検討の際にはご相談ください。

今ご依頼頂いた場合、お時間を頂戴してしまうことは間違いない状況なのですが、中にはそれでも、とご依頼下さる方がいらっしゃるので本当にありがたく思っております。

こんな時だからこそ、大切なものを見直してみるのも良いのかもしれません。お預かりしたものは大切に、丁寧に向き合わせていただきます。よろしくお願いいたします。

まずは健やかにお過ごしください。

修理するということ

先日、プロフェッショナル〜仕事の流儀〜に、三重県のとある電気屋さんが紹介されていました。今井さんという方で、どんな電気機器も直してしまうと評判とのことでした。

自宅にいる時は普段ほとんどテレビをつけないのですが、その日はたまたま実家に帰っていました。息子を寝かしつけたあと、なんとなく母と見ていたのですが、その仕事ぶり、一つ一つのモノを大事に子供のように可愛がる様子に引き込まれ、すごく感銘を受けました。

その方は当初、家電販売の仕事をしていたそうですが、お客様から家電が故障したから直して欲しいと依頼を受けたとき、上司から「直るものも“直らない”と言うように」と指示されたのだそうです。新しい製品が売れなくなるからです。家電製品はある時から、使ってもらうことよりも、いかに売るかが目的になったのです。

そのことで心が痛み、販売店を辞めて自分で修理屋さんを始めたのだそう。最初は相手にされな買ったけれど、今や製造元のメーカーでも直せないお手上げなものまで直してしまうほどになり、各方面から頼りにされているのだそうです。

私たちはいつの時代からか、家電に限らず、消費するように仕向けられています。どんどん目新しいものを作って店に並べて魅力的に見せて価格は下げて、まだ使えるものでも手放させ次のものを買うように、誘導されているのです。

私はそこにずっと、大きな違和感と疑問と気持ち悪さを感じていました。

このホームページを立ち上げるには戸惑いもありました。まだ技術が追いついてないんじゃないか?私のような職人の足元にも及ばないようなヒヨコが堂々と『金継ぎ』などと言っていいのか?とか。

でも、この電気屋今井さんのひたむきな姿を見て勇気づけられました。最初は誰しも未熟なんです。でも何年も何十年も正直に続けていけば、何か見えてくるのではないか?

派手なことはできませんが、ここをまず第一歩目の土台として、コツコツ頑張っていきたいと思った、修理屋さんのお話です。

人の手センサーの敏感さ

この前くっつけた器です。

写真で見ると、ズレもなく上手いことくっついたように見えるのですが、手で触ると鋭角な部分を感じて、少し引っかかります。

もうそこは、ミリ単位とかの話ではないですよね。こういう時、人の手の感覚の鋭さ、敏感さにハッとします。

伝統工芸の世界では、この微かな感触とか手触りとかを頼りに素晴らしいお仕事されている方がとてもとても多くて、本当に頭が上がりません。職人さんたちの仕事ぶり、尊敬に値します。

私は職人ではありませんが、せめて日々の生活に必要とされているモノたちが、壊れたり汚れたりして無碍に捨てられることがないように、モノを大事にするために、技術を磨きたいと思っています。

修理は基本的に本漆を用いて行っております(合成樹脂は使用していません)

仕上げについては、金・銀・真鍮と色漆などに対応しております。ご依頼される方の

意向を伺い、その都度、相談のうえで決めていきたいと考えております。

<ご依頼までの流れ>

まずはじめに画像などで破損の状態を拝見し、仮見積もりをさせて頂きます。その後

修理品を直接お持ちいただくか郵送して頂き、見積額を決定、修理となります。

<修理・メンテナンスできないもの>

当工房では、ガラス製品についてはお断りさせて頂いています。技術が追いついたら

お受けできるようになるかも知れません。その他、器の状況によりお断りする場合も

ございますことをご了承ください。