季節は梅雨。温度も湿度もよろしく、漆が活性化しています。


私はというと、久しぶりにかぶれています。
心当たりは色々とあります。
ひとつ強く言えるのは、作業中は整理整頓が大切ということです。

今年3月から細々と金継ぎ教室をするようになりましたが、お教室の最初では、かぶれについて時間をかけてご説明させて頂いてます。

と言うのも、以前、漆教室のアシスタントをさせて頂いていた時、色んな方の、色んな症状を目の当たりにしたことがあり、甘く見てはいけないと感じたのです。

私は本漆を使用するようになって10年程ですが
いまだに一年に1〜2回はかぶれ症状が出ている気がします。

「かぶれる」とは聞くけど、実際はどうなのか?というところまでは、金継ぎキットの説明書や関連本にはあまり具体的に書いていないと思います。

今日はいい機会ですので、私の症状について少し書かせて頂こうと思います。

お見苦しいかも知れませんが、最後のほうに今の両手の写真も載せておきますね。

・・・・・・・・・・・・・・

私の場合、まず手指に小さな水泡がプツプツできます。
これが痒いです。
時間は特に決まっていませんが、「あっ痒いな」と思う瞬間が1日に何度かあります。
寝てる時に痒くて起きることもあります。

で、痒いと掻きますね。
すると熱を持ち患部は赤くなり、水疱は若干広がります。
掻き壊すと傷になるので厄介です。

この痒い波が去ると、赤みは引いて水疱も消え、
何事も無かったように普通の肌に戻ってます。
ただその間も肌の奥で痒みのタネのようなものが
ジワジワと燻っているのは感じています。

も少し酷いときは全身どこかしらにある
ゴムの痕とかが痒くなる時もあります。
下着のゴム、靴下のゴム、ウエストのゴムのあと
それらが意味もなく痒くなったりします。

あとは肘の内側、膝の裏側など皮膚の薄いところ
じんわり汗をかくと痒みを感じたりします。

痒みに対して軟膏などを塗る時もありますが
ほとんど気休めです。

漆かぶれはアレルギー症状の一つ。
漆が付着した部分だけが発症するのではなく
場合によっては全身症状となります。

身体の中から湧き上がってくるような感覚があるので
例え皮膚の表面に何か塗ったとて、
それが抜群に効くとは思えません。

対処法としては、冷やすのが一番だと思います。

私の場合、症状は長くて2週間。
今回は多分1週間くらいで落ち着く気がします。

この10年で多少は耐性がついたのか
普段は皮膚についてしまっても
すぐに拭いておけばかぶれたりしないのですが
その時の体調と季節と漆の活性具合により
かぶれる時はかぶれます。

大抵は今のような梅雨の時期にかぶれています。
漆がモーレツ元気になっている季節。

それと汗をかく季節なので毛穴が開いて、
アレルギー物質が皮膚から侵入しやすいとか
単純に半袖で作業して露出が増えているからとか
整理整頓を怠っているからとか暑くて手袋しないとか
心当たりはありまくるので、かぶれないためには
基本の対策が大事ということでしょう。

中にはこの程度で済まない人もいます。
皮膚科に駆け込む方も見てきました。

金継ぎが流行って久しいですが
手軽に買える金継ぎキットの中に「かぶれることがあります」の一文を添えるだけで、本漆が入っているものも存在しているようで、不安を感じることがあります。扱いが軽いというか…。

天然の漆は素晴らしいものですが、そもそもは漆の樹からいただいた、貴重な樹液です。

ご自身でやってみたいと考える方は、保管方法、かぶれ対策、漆の良い部分だけでなく
扱いを間違うと大変なことになりかねない、天然漆ならではの危うさも、正しく知って欲しいと思います。

私のかぶれの話は、何かの参考にして頂けるなら幸いです。

過去に見てきた方の症例?についても、また機会があれば改めて書きたいと思います。